コンテクスト言語? 日本語と英語の大きな違い
実はあまり気づいていない方も多いのですが、英語と日本語にはただ違う言語である以上に、コンテクスト(文脈理解の段階)という深いところで大きな違いがあります。言語は極論コミュニケーションツールなのですが、実はこのコンテクストというのが大きく関わり、この理解度次第で、英語話者とのコミュニケーションが難しくも簡単にもなります。今回は英語をより自分の言語と扱いやすくするためにこの言語コンテクストについて知ってみてください。
言語コンテクストとは?
海外に住んでいる方はこんなことを思ったことはありませんか?なぜこの人たちはこんなにストレートに物を言うのだろう、なぜ彼らは言い回しが遠回りなんだと。これらはこの言語コンテクストが関連している可能性がかなり高いです。
言語コンテクスト(Language Context)とは、言語内での文脈のことで、言葉や文章の解釈と理解に大きな影響を与えるものです。
コンテクストには、話者のトーン、ジェスチャー、表情、文化的背景、会話環境、関係者間などのコミュニティ内で共有される要素が含まれます。そして言語の文脈の程度は言語ごとに異なり、高文脈の言語では文脈的な考察力や文化的理解が大切であり、低文脈の言語では明確で直接的な言い回しが必須です。言語の文脈を理解することは、誤解を避けるために不可欠です。
皆さんに身近な例を出すならば、職場です。例えば、あなたが上司にレポートを提出した際、上司がしかめっ面で「ん-、悪くないけどなぁ、、」といえばたいていの場合はそれが悪いことを我々日本人は理解できます。
しかしその反応は低言語コンテクストの国の人にとっては、オッケーだと認識されることもあるのです。
国際的な仕事やビジネスをする方には絶対知っていてほしい内容です。
高言語コンテクスト (日本語)
私たちが使う日本語のような高コンテクスト言語では発する言葉以上に、雰囲気、トーン、表情、文化的知識、文脈を経由して意味が理解されると思います。KY。空気読めない、のように会話は暗黙の了解に大きく依存し、同じ言葉でも複数の意味を持ったり場合に応じで全く意味が違うことが多数です。
一番わかりやすい例は、英語では「NO」をよく使いますが、日本の方は失礼がないよう、やんわりと断るためかなり遠回しに断ることが多いです。行けたら行くはほぼNOですよね(笑)
つまり言葉以上に相手がどういう意図を示しているかを様々な状況を判断して理解しなければいけません。このような高コンテクスト言語はアジアの言語に多くみられる傾向があり、中でも韓国語、中国語はその中でもレベルが高いです。
ちなみにこのコンテクストは絶対評価ではなく相対評価であることが多いため、例え高コンテクスト言語同士でもより高い方にとっては、もう片方の言語が低言語コンテクストになることがあります。
日本語は世界で1,2を争うほど高コンテクストだと言えます。そのため他の言語は日本語より低文脈になります。おそらくは日本は閉鎖的であったためより自分たちの言語を深く使うようになったと考えられています。
ちなみにこちらのコンテクストは優劣ではないので注意。双方ともにいい点悪い点があります。
個人的には高コンテクスト言語の表現は全て微妙なところがあるので、はっきりしていないあたりが苦手です。
低言語コンテクスト (英語)
一方、英語のような低コンテクスト言語は、より明示的で直接的なコミュニケーションが中心です。
英語では通常、話し言葉や書き言葉そのものを通して伝えられ、特に言語以外を通して理解されることが少ないです。言語は単純で、文化的な知識に頼ることは少なめで、学びやすい、取り組みやすい言語とも言えます。
英語では「NO」という言葉は、NO以外の何物でもありません(笑)英語圏の人と会話していたらよく思う、表現がかなりストレート。これに少し傷つく人も少なくありませんが、これが言語コンテクストなのです。この理解がないために友情関係が壊れてしまったりすることも中にはあるでしょう。
ですがたいていの場合はただただそういう言語なだけで悪気はないはずです。
だいたい文脈が言語によって変わることとその重要性がわかってきたかと思います。てことで次は細かくどう違うのか比べながら見てみましょう。
高言語コンテクストと低言語コンテクスト
主な違い
高コンテクスト文化においては、文脈に類似性が求められやすいです。というのも、高コンテクスト文化では大半が同じレベルの教育を受け、考え方に共通する部分が多いことにあります。
低コンテクスト文化では、その逆で、文化は多様、集団ではなく個人に焦点を当てます。低コンテクスト文化圏では教育レベルやそもそもの育ちの文化に多くの違いがあるため、多くの人が理解できるような言語になりがちです。
カナダはすごくいい例だと言えるでしょう。
英語は世界共通語、大昔から様々な人が使っていたことからかなり極端な表現で会話をするようになったと考えられています。少し特徴を出すとすると、、
高言語コンテクスト
- 伝えられた内容をより内面的(意図)に理解する
- 意思決定は多くの場合、権力のある人物を中心に行われる。
- 人間関係はゆっくりと構築され、信頼ベースに依存する、
- 声のトーン、表情、ジェスチャー、目の動きが会話の重要な部分を占める。
- 言語による意図は間接的で、要点を避けて話す。
- 意見の相違、会話に表れる対立に敏感である。対立は避けられがち。
低言語コンテクスト
- 内容はそのまま理解される。
- タスク中心。意思決定は、やるべきことに焦点を当てる。
- 意思を伝える上で言葉が重要。
- 言葉によるメッセージは直接的。
などで言語や土地によって変わってくるのです。
問題点と改善方法
ある程度コンテクスト言語の違いについてわかってきたかと思います。でもそれが英語学習にどう関係あるのと思っている方も多いはず、実はこの違いを認識していないことで誤解などが生まれます。
低コンテクスト環境における高コンテクスト話者 (カナダにいる日本人の場合):
高コンテクスト言語話者は、直接的で明示的なコミュニケーションを期待される低コンテクスト環境において、自分のメッセージを明確に伝えることに苦労しやすいと言えます。
要は失礼がないように丁寧に言いすぎるために、カナダや日本語より低コンテクストの言語圏では遠回りすぎるのでイラっとされることもあるということです(笑)
そして合図や暗黙のメッセージに頼りがちなので、誤解や誤った解釈を招く可能性もあります。
間違っていることは間違っていると言わないとわからないこともあったり、理解度の違いから自分の価値観を押し付けてしまう危険性もあるので、むやみに人間性を批判しないようにすることが大切ですね。
理想はストレートに物を言えるようになることですね。こちらの記事でNOと言えるようになる方法を紹介しています。
高コンテクスト環境における低コンテクスト話者 (日本にいるカナダ人):
低コンテクスト言語話者は、文脈や非言語的な合図によって多くの情報が伝達される高コンテクスト環境では、混乱することが多いみたいです。
暗黙のメッセージやニュアンスを読むのはおそらくかなり難しいのでしょう。もし仮に日本で外国の方とお話をする機会があればでそのあたり少し気にかけてあげると会話が成立しやすくなるかもしれませんね。
まとめ
と、このような感じで日本語と英語には言語コンテクストという言語以上に大切な違いが存在します。たとえ英語を話せようとも、コミュニケーションを取れるか取れないかは別の話だと思うので、英語圏に住むのであれば、ある程度物おじせずにストレートに意図を伝えられる練習をしておくことと、相手からの口調に傷つかないようにすることが必要不可欠です。
今回は言語コンテクストを言語で分けましたが、実際は国ごと、土地ごとに違うので一概に英語だからストレートにしか話せないというわけでもありません。少し言語学の話になってくるので、興味のある方は少し調べてみてもいいですね。